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孫子のイラスト
イラスト(AIで作成)・本人の写真ではありません

孫子の名言

孫子(孫武)|前6世紀頃〜前5世紀頃年|中国(春秋時代・斉→呉)|兵法家・古典

『孫子』(孫子兵法)は、春秋時代に呉の王に仕えた孫武の作とされる兵法書で、全13篇。戦いを国の存亡に関わる大事と考え、戦わずに勝つこと、事前の計算、敵と自分を知ることを重んじた。著者や成立には諸説あるが、1972年に銀雀山の漢代の墓から竹簡が見つかり、古くから読まれていたことが確かめられた。日本でも武将や現代の経営者に愛読されている。

のせている言葉:26こ(出典あり 25・実は言っていない 1)更新:2026-10-20

この人の名言の一覧(26こ)
  1. 兵は詭道なり。
  2. 其の無備を攻め、其の不意に出づ。
  3. 算多きは勝ち、算少なきは勝たず。
  4. 兵は拙速を聞くも、未だ巧の久しきを睹ざるなり。
  5. 兵は勝つことを貴び、久しきを貴ばず。
  6. 百戦百勝は善の善なる者に非ず。戦わずして人の兵を…
  7. 上兵は謀を伐つ。
  8. 彼を知り己を知れば、百戦して殆うからず。
  9. 昔の善く戦う者は、先ず勝つべからざるを為して、以…
  10. 勝兵は先ず勝ちて而る後に戦いを求め、敗兵は先ず戦…
  11. 凡そ戦いは、正を以て合い、奇を以て勝つ。
  12. 善く戦う者は、之を勢に求めて、人に責めず。
  13. 善く戦う者は、人を致して人に致されず。
  14. 兵の形は水に象る。
  15. 其の疾きこと風の如く、其の徐かなること林の如く、…
  16. 迂を以て直と為し、患を以て利と為す。
  17. 囲師は必ず闕き、窮寇には迫ること勿かれ。
  18. 卒を視ること嬰児の如し、故に之と深谿に赴くべし。
  19. 呉人と越人と相悪むも、其の舟を同じくして済るに当…
  20. 始めは処女の如く、後は脱兎の如し。
  21. 之を亡地に投じて然る後に存し、之を死地に陥れて然…
  22. 其の来たらざるを恃むこと無く、吾の以て待つ有るを…
  23. 智者の慮は、必ず利害を雑う。
  24. 主は怒りを以て師を興すべからず、将は慍りを以て戦…
  25. 先知なる者は、鬼神に取るべからず。必ず人に取りて…
  26. 三十六計、逃げるに如かず。

それぞれの名言に、出典(どの本・手紙・演説か)と、確かさのしるし(出典あり伝承・出典未確認実は言っていない)をつけています。外国語の言葉は運営者が原文から訳しました。

兵へいは詭道きどうなり。

現代語訳戦いとは、相手をあざむくことが基本である。

原文(漢文)兵者,詭道也。

出典:『孫子』始計第一

出典について始計篇の本文にある。

意味と背景

できるのにできないふりをし、近いのに遠いと思わせる、と孫子は続ける。戦いでは正直に手の内を見せた側が負けるという冷静な現実認識である。日常で人をだませという意味ではなく、競争の場では相手の読みの裏をかく工夫が要る、という教えとして読むのがよい。

座右の銘にするなら・面接での答え方

座右の銘としてそのまま言うと誤解されやすい。使うなら「スポーツの試合では相手に読まれない攻め方を考えるのが好きで」と競技や作戦の話に限って引くと、戦略的に考える人だと伝わる。

2出典あり#挑戦#仕事
其その無む備そなえを攻せめ、其その不意ふいに出いづ。

現代語訳相手が備えていないところを攻め、相手が思ってもいない時に打って出る。

原文(漢文)攻其無備,出其不意。

出典:『孫子』始計第一

出典について始計篇の本文にある。

意味と背景

強いところに正面からぶつかるのではなく、手薄で予想されていないところを突くのが勝ちへの近道だという考え。ビジネスで言えば、大手が見落としている小さな市場や、誰もやっていない売り方を探すことに通じる。

座右の銘にするなら・面接での答え方

「大手が手を出さない地域の小さな需要に目をつけ、新しいサービスを始めて黒字にしました」のように、すき間を見つけて勝った経験と組み合わせると、発想力のアピールになる。

算さん多おおきは勝かち、算さん少すくなきは勝かたず。

現代語訳事前の計算(見積もり)が多いほうが勝ち、少ないほうは勝てない。まして計算しない者はなおさらだ。

原文(漢文)多算勝,少算不勝,而況於無算乎?

出典:『孫子』始計第一

出典について始計篇の本文にある。

意味と背景

戦う前に、こちらと相手の条件をどれだけ細かく比べたかで勝ち負けはほぼ決まる、という孫子の基本の考え。勢いや根性でなく、準備と分析で勝つ。受験の作戦でも商売の計画でも、まず数字と条件を並べることの大切さを教えている。

座右の銘にするなら・面接での答え方

「企画を出す前に必ず数字で見込みを三通り出すようにしています。勝算の薄い案は早めに捨てられるので、結果的に成功率が上がりました」と話せば、準備を重んじる仕事ぶりが伝わる。

4出典あり#仕事#時間
兵へいは拙速せっそくを聞きくも、未いまだ巧たくみの久ひさしきを睹みざるなり。

現代語訳戦いでは、多少まずくても素早く終わらせたという話は聞くが、うまくやって長引かせたという例は見たことがない。

原文(漢文)故兵聞拙速,未睹巧之久也。

出典:『孫子』作戦第二

出典について作戦篇の本文にある。「拙速」という言葉の元。

意味と背景

「拙速」の語源。長い戦いは国の財政も兵の力も消耗させるので、完璧をめざして長引かせるより、早く決着をつけるほうがよいという教え。今は「拙速」を悪い意味で使うことが多いが、もとは「速さの価値」を説いた言葉である。

座右の銘にするなら・面接での答え方

「完璧な資料を一週間後に出すより、七割の案を翌日に出して意見をもらうほうが早く良い物になると考えています」と話すと、この言葉の本来の意味をふまえた仕事の進め方として伝わる。

5出典あり#仕事#時間
兵へいは勝かつことを貴とうとび、久ひさしきを貴とうとばず。

現代語訳戦いは勝つことが大事であって、長引かせることには価値がない。

原文(漢文)故兵貴勝,不貴久。

出典:『孫子』作戦第二

出典について作戦篇の結びにある。

意味と背景

作戦篇のまとめの言葉。どれだけ頑張ったか、どれだけ時間をかけたかではなく、目的を達したかどうかが大事だという割り切り。長い会議や終わらない作業に追われている時、そもそも何のためにやっているのかを思い出させてくれる。

座右の銘にするなら・面接での答え方

「作業時間ではなく成果で考えるようにしてから、残業が月二十時間減りました」と、目的から逆算して働き方を変えた例と組み合わせると、効率を重んじる姿勢が伝わる。

百戦ひゃくせん百ひゃく勝しょうは善ぜんの善ぜんなる者ものに非ひず。戦たたかわずして人ひとの兵へいを屈くっするは善ぜんの善ぜんなる者ものなり。

現代語訳百回戦って百回勝つのが最善なのではない。戦わずに相手を降参させるのが最善である。

原文(漢文)是故百戰百勝,非善之善者也;不戰而屈人之兵,善之善者也。

出典:『孫子』謀攻第三

出典について謀攻篇の本文にある。

意味と背景

『孫子』を代表する考え方。戦えば勝っても味方に犠牲が出る。外交や策で、戦う前に相手を従わせるのが一番だという。争いを避けて目的を達することを最上とするこの考えは、交渉や人間関係にもそのまま生かせる。

座右の銘にするなら・面接での答え方

「取引先ともめた時、言い負かすのではなく相手の事情を聞いて双方に得な条件を探し、争わずにまとめました」と、対立を避けて解決した経験と結びつけると、交渉力のある人だと伝わる。

上兵じょうへいは謀はかりごとを伐うつ。

現代語訳最上の戦い方は、相手のはかりごとを打ち破ることだ。その次は相手の同盟を断つこと、その次が軍と戦うことで、最も下策が城を攻めることだ。

原文(漢文)故上兵伐謀,其次伐交,其次伐兵,其下攻城。

出典:『孫子』謀攻第三

出典について謀攻篇の本文にある。

意味と背景

戦い方に順番をつけた言葉。相手の計画そのものをつぶすのが一番で、守りを固めた城を力攻めするのは最も損が大きい。問題が大きくなる前に原因の段階で手を打つべきだ、という教えとして日常にも応用できる。

座右の銘にするなら・面接での答え方

「トラブルが起きてから対応するより、起きそうな原因を先に潰すことを大事にしています。クレームが出る前の段階で手順書を直しました」と、予防の発想を語る時に使える。

彼かれを知しり己おのれを知しれば、百戦ひゃくせんして殆あやうからず。

現代語訳相手のことを知り、自分のことも知っていれば、百回戦っても危ういことはない。相手を知らず自分だけ知っていれば勝ったり負けたり。相手も自分も知らなければ、戦うたびに必ず危うい。

原文(漢文)故曰:知彼知己,百戰不殆;不知彼而知己,一勝一負;不知彼不知己,每戰必殆。

出典:『孫子』謀攻第三

出典について謀攻篇の結びにある。日本では「百戦危うからず」と言うことが多いが、原文の字は「殆」。また「百戦百勝」とは言っていない点に注意。

意味と背景

『孫子』で最も有名な言葉。「必ず勝てる」とは言っておらず、「負けない」と言っているのがポイント。相手を研究するだけでなく、自分の強みと弱みを正しく知ることが同じくらい大事だと説いている。受験の過去問研究にも通じる。

座右の銘にするなら・面接での答え方

受験生なら「志望校の過去問で出題の傾向をつかみ、模試で自分の苦手を洗い出してから勉強の配分を決めました」と、相手と自分の両方を分析した話をすると、この言葉を正しく理解している人になる。

昔むかしの善よく戦たたかう者ものは、先まず勝かつべからざるを為なして、以もって敵てきの勝かつべきを待まつ。

現代語訳昔の戦い上手は、まず自分を負けない態勢にしておいてから、敵に勝てるすきが生まれるのを待った。

原文(漢文)孫子曰:昔之善戰者,先為不可勝,以待敵之可勝。

出典:『孫子』軍形第四

出典について軍形篇の冒頭にある。

意味と背景

負けないことは自分の努力でできるが、勝てるかどうかは相手次第だ、と孫子は続ける。だからまず守りを固め、チャンスが来るのを待つ。焦って攻めて自滅するより、崩れない土台を作っておく大切さを教えている。

座右の銘にするなら・面接での答え方

「新しい挑戦をする前に、生活費の半年分をためてから独立しました」のように、まず負けない備えを作ってから勝負に出た経験と組み合わせると、慎重さと行動力の両方を示せる。

10出典あり#受験#仕事#努力
勝かち兵へいは先まず勝かちて而しかる後のちに戦たたかいを求もとめ、敗兵はいへいは先まず戦たたかいて而しかる後のちに勝かちを求もとむ。

現代語訳勝つ軍は、まず勝てる態勢を作ってから戦いに臨む。負ける軍は、まず戦い始めてから勝ちを探す。

原文(漢文)是故勝兵先勝而後求戰,敗兵先戰而後求勝。

出典:『孫子』軍形第四

出典について軍形篇の本文にある。

意味と背景

勝負は始まる前に決まっている、という言葉。準備不足のまま本番に入り、その場の運や頑張りで何とかしようとするのが負ける側の典型である。試験、試合、商談、どれも本番前の準備こそが本当の勝負どころだと教えてくれる。

座右の銘にするなら・面接での答え方

「プレゼンの前日までに想定質問を二十個作り、答えを用意してから臨むのが習慣です」と、勝ってから戦う準備の中身を具体的に話すと、本番に強い人という印象になる。

11出典あり#仕事#挑戦
凡およそ戦たたかいは、正せいを以もって合あい、奇きを以もって勝かつ。

現代語訳戦いはいつも、正攻法で相手とぶつかり、奇策で勝ちを決める。

原文(漢文)凡戰者,以正合,以奇勝。

出典:『孫子』兵勢第五

出典について兵勢篇の本文にある。

意味と背景

基本の戦い方(正)がしっかりしているからこそ、意表をつく手(奇)が生きる。奇策だけでは勝てず、正攻法だけでは決め手に欠ける。基礎と工夫の両方をそろえることの大切さを言った言葉で、スポーツや仕事にも当てはまる。

座右の銘にするなら・面接での答え方

「基本の接客を誰より丁寧にしたうえで、手書きのお礼カードという一工夫を加え、リピート率を上げました」と、基礎と工夫の組み合わせで結果を出した話にすると、この言葉がよく生きる。

12出典あり#リーダー#仕事
善よく戦たたかう者ものは、之これを勢いきおいに求もとめて、人ひとに責せめず。

現代語訳戦い上手は、勝ちを全体の勢いに求め、一人ひとりの兵の力に頼って責めたりしない。だから人を選んで勢いに任せることができる。

原文(漢文)故善戰者,求之於勢,不責於人,故能擇人而任勢。

出典:『孫子』兵勢第五

出典について兵勢篇の本文にある。

意味と背景

個人の頑張りに頼るのではなく、チーム全体がうまく動く流れや仕組みを作るのが指揮する人の仕事だという考え。うまくいかない時に部下を責める前に、仕組みや配置を見直せという、現代のマネジメントにも通じる言葉である。

座右の銘にするなら・面接での答え方

管理職の面接で「メンバーを責めるより、誰がやっても回る手順と役割分担を作ることに力を入れています」と話し、実際に仕組みを変えて成果が出た例を添えると、リーダーとしての考え方が伝わる。

13出典あり#仕事#リーダー
善よく戦たたかう者ものは、人ひとを致いたして人ひとに致いたされず。

現代語訳戦い上手は、相手を思いどおりに動かし、相手に振り回されない。

原文(漢文)故善戰者,致人而不致於人。

出典:『孫子』虚実第六

出典について虚実篇の本文にある。

意味と背景

主導権を握ることの大切さを説いた言葉。相手の出方に合わせて慌てて動くのではなく、自分のペースで状況を作る。仕事でも、指示を待って振り回されるより、先に段取りを示して周りを動かすほうが、ずっと楽に良い結果を出せる。

座右の銘にするなら・面接での答え方

「締め切りに追われるのではなく、自分から先に予定を組んで関係者に共有するようにしてから、急な依頼に振り回されなくなりました」と、主導権を取る工夫の話として使える。

14出典あり#仕事#自然#挑戦
兵へいの形かたちは水みずに象かたどる。

現代語訳軍の形は水に似ている。水は高いところを避けて低いところへ流れる。軍の勝ち方は、敵の充実したところを避けて手薄なところを撃つことだ。

原文(漢文)夫兵形象水,水之行,避高而趨下;兵之勝,避實而擊虛。

出典:『孫子』虚実第六

出典について虚実篇の本文にある。続けて「水は地形によって流れを決め、軍は敵によって勝ち方を決める」とある。

意味と背景

決まった形にこだわらず、水のように相手や状況に合わせて形を変えるのが強さだという教え。同じやり方が通じなくなったら、こだわらずに変える柔らかさを持て、ということでもある。変化の速い時代にこそ響く言葉である。

座右の銘にするなら・面接での答え方

「前の部署のやり方にこだわらず、異動先ではまず仕事の流れに合わせて自分のやり方を変えました」と、環境に合わせて柔軟に動いた経験と組み合わせると、適応力のアピールになる。

其その疾ときこと風ふうの如ごとく、其その徐しずかなること林はやしの如ごとく、侵掠しんりゃくすること火ひの如ごとく、動うごかざること山やまの如ごとし。

現代語訳速く動く時は風のように、静かにする時は林のように、攻める時は火のように、動かない時は山のようにどっしりと。

原文(漢文)故其疾如風,其徐如林,侵掠如火,不動如山,難知如陰,動如雷震。

出典:『孫子』軍争第七

出典について軍争篇の本文にある。武田信玄の旗の「風林火山」はこの四句を書いたもので、もとは孫子の言葉。原文は「知り難きこと陰の如く、動くこと雷の震うが如し」と続く。

意味と背景

武田信玄の「風林火山」で知られるが、出どころは『孫子』。動く時と止まる時、攻める時と守る時を、はっきり切り替えることの大切さを自然のたとえで示している。ずっと全力でも、ずっと様子見でも勝てない、という教えである。

座右の銘にするなら・面接での答え方

「普段は林のように静かに準備し、ここぞという時は火のように一気に動くのが自分のやり方です」と、メリハリのある働き方を語ると、有名な言葉でも自分らしい使い方になる。出典は信玄ではなく孫子だと添えると一目置かれる。

16出典あり#人生#挑戦#失敗
迂うを以もって直じかと為なし、患かんを以もって利りと為なす。

現代語訳遠回りを近道に変え、不利を有利に変える。それが戦いで先手を取ることの難しさだ。

原文(漢文)軍爭之難者,以迂為直,以患為利。

出典:『孫子』軍争第七

出典について軍争篇の本文にある。「迂直の計」と呼ばれる。

意味と背景

わざと遠回りに見える道をとって相手を油断させ、結果として先に着く。不利な条件もうまく使えば有利に変えられる。「急がば回れ」と似ているが、遠回りを意図して使う戦略の言葉である点がおもしろい。

座右の銘にするなら・面接での答え方

「新卒で大手ではなく小さな会社を選んだのは、早くから全体を任される経験を積むためで、結果的に遠回りが近道になりました」と、意図した回り道の話にすると、この言葉を自分のものにできる。

囲師いしは必かならず闕かき、窮寇きゅうこうには迫せまること勿なかれ。

現代語訳敵を囲む時は必ず逃げ道を一か所あけておけ。追いつめられた敵をそれ以上追い詰めるな。

原文(漢文)圍師必闕,窮寇勿迫,此用兵之法也。

出典:『孫子』軍争第七

出典について軍争篇の結びにある。

意味と背景

逃げ場を失った相手は死にものぐるいで反撃してくるので、かえって損害が大きくなる。わざと逃げ道を残すのが賢い戦い方だという教え。人との議論でも、相手のメンツを完全につぶさず、引き下がれる道を残しておくのが大人の知恵である。

座右の銘にするなら・面接での答え方

「部下のミスを指摘する時は、全部を責めずに『次はこうしよう』と立て直せる道を必ず示すようにしています」と、人を追い詰めない指導の仕方と結びつけると、器の大きさが伝わる。

卒そつを視みること嬰児えいじの如ごとし、故ゆえに之これと深谿しんけいに赴おもむくべし。

現代語訳兵士を赤ん坊のようにいつくしむ。だから兵士は将とともに深い谷へも行く。

原文(漢文)視卒如嬰兒,故可以與之赴深溪;

出典:『孫子』地形第十

出典について地形篇の本文にある。孫子はすぐ後で、甘やかすだけで命令できなければ役に立たないとも書いている。

意味と背景

部下を大切にする将には、部下も命がけでついてくる。ただし孫子はこの後で「かわいがるだけで命令を聞かせられないなら、わがままな子と同じで使いものにならない」とも言っている。愛情と厳しさの両方を持てという教えである。

座右の銘にするなら・面接での答え方

「後輩の相談には夜でも乗りますが、期限と約束は厳しく守らせます」と、面倒見の良さと厳しさの両方を語ると、孫子が本当に言いたかった釣り合いまで伝わる。

19出典あり#友情#リーダー
呉人ごひとと越人えつひとと相悪あいにくむも、其その舟ふねを同おなじくして済わたるに当あたりては、相救あいすくうこと左右さゆうの手ての如ごとし。

現代語訳呉の人と越の人は憎み合っているが、同じ舟で川を渡る時に嵐にあえば、左右の手のように助け合う。

原文(漢文)夫吳人與越人相惡也,當其同舟而濟。遇風,其相救也,如左右手。

出典:『孫子』九地第十一

出典について九地篇の本文にある。四字熟語「呉越同舟」の出どころ。

意味と背景

「呉越同舟」の元の話。孫子は、兵が逃げられない状況に置かれれば、仲の悪い者同士でも力を合わせる、という意味で使った。今は「仲の悪い者が同じ場所に居合わせる」意味で使われがちだが、本来は「共通の危機が協力を生む」話である。

座右の銘にするなら・面接での答え方

「文化祭で対立していた二つの班が、締め切り直前に一緒に作業して間に合わせた経験から、この言葉が好きになりました」と、困難が人をまとめた場面を語ると、本来の意味で使える。

20出典あり#挑戦#仕事
始はじめは処女しょじょの如ごとく、後のちは脱兎だっとの如ごとし。

現代語訳はじめは乙女のようにおとなしくして敵を油断させ、門を開かせる。その後は逃げるウサギのように素早く動き、敵に防ぐひまを与えない。

原文(漢文)是故始如處女,敵人開戶;後如脫兔,敵不及拒。

出典:『孫子』九地第十一

出典について九地篇の結びにある。

意味と背景

九地篇の最後の言葉。最初は静かにして相手の警戒を解き、チャンスが来たら一気に動く。静と動の切り替えの鮮やかさを、乙女と逃げるウサギという対照的なたとえで言い表している。ことわざとしても広く使われる。

座右の銘にするなら・面接での答え方

「新しい職場では最初の数か月は聞き役に徹し、課題が見えてから一気に改善案を出して実行しました」と、様子見と一気の行動を使い分けた経験を語ると、この言葉が生きる。

21出典あり#挑戦#勇気#努力
之これを亡地ぼうちに投とうじて然しかる後のちに存そんし、之これを死地しちに陥おとしいれて然しかる後のちに生いく。

現代語訳兵を滅びるしかない場所に投げ込んではじめて生き残り、死ぬしかない場所に追い込んではじめて生き延びる。

原文(漢文)投之亡地然後存,陷之死地然後生。

出典:『孫子』九地第十一

出典について九地篇の本文にある。漢の韓信の「背水の陣」はこの考えに基づくとされる。

意味と背景

逃げ道がない状況に置かれると、人は思いもよらない力を出すという考え。韓信の「背水の陣」もこの言葉が下敷きになっている。ただし兵法としての計算があっての話で、むやみに自分を追い込めばよいという意味ではない。

座右の銘にするなら・面接での答え方

「退路を断つつもりで会社を辞め、資格試験に一年集中して合格しました」のように、覚悟を決めて結果を出した経験と組み合わせる。計画もあったことを添えると、無謀ではない覚悟として伝わる。

22出典あり#仕事#健康
其その来きたらざるを恃たのむこと無なく、吾われの以もって待まつ有あるを恃たのめ。

現代語訳敵が来ないだろうと当てにするな。自分にいつ来ても迎え撃てる備えがあることを頼りにせよ。

原文(漢文)故用兵之法,無恃其不來,恃吾有以待之;無恃其不攻,恃吾有所不可攻也。

出典:『孫子』九変第八

出典について九変篇の本文にある。

意味と背景

「たぶん大丈夫だろう」という希望的観測に頼るなという戒め。相手が来ないこと、問題が起きないことを期待するのではなく、起きても困らない備えをしておく。防災や健康管理、データのバックアップなど、身近なことにもそのまま当てはまる。

座右の銘にするなら・面接での答え方

「システム担当として、障害が起きない前提ではなく起きても三十分で戻せる手順を作っておくことを大事にしています」と、備えの具体例を挙げると、この言葉を実務で生かしている人になる。

23出典あり#仕事#リーダー
智者ちしゃの慮りょは、必かならず利害りがいを雑まじう。

現代語訳知恵のある人の考えには、必ず利益と損害の両方が入っている。

原文(漢文)是故智者之慮,必雜於利害,雜於利而務可信也,雜於害而患可解也。

出典:『孫子』九変第八

出典について九変篇の本文にある。

意味と背景

良い話の中にも危険はあり、悪い状況の中にも得られるものがある。その両方を同時に考えるから、計画は確かになり、心配ごとも解消できる、と孫子は言う。物事を一面だけで判断しない、バランスの取れた考え方を教えてくれる。

座右の銘にするなら・面接での答え方

「新しい案を出す時は、必ずメリットとリスクを同じ数だけ書き出してから提案するようにしています」と、実際の考え方の型として話すと、冷静に判断できる人だと伝わる。

24出典あり#リーダー#心
主しゅは怒いかりを以もって師しを興おこすべからず、将しょうは慍いきどおりを以もって戦たたかいを致いたすべからず。

現代語訳君主は怒りにまかせて軍を起こしてはならない。将軍は憤りにまかせて戦いを始めてはならない。

原文(漢文)主不可以怒而興師,將不可以慍而致戰。

出典:『孫子』火攻第十二

出典について火攻篇の本文にある。

意味と背景

怒りはいずれ喜びに戻り、憤りもいずれ晴れるが、滅んだ国は元に戻らず、死んだ人は生き返らない、と孫子は続ける。感情で大きな決断をするなという、指導者への重い戒めである。日常でも、怒っている時のメールは送らないという知恵に通じる。

座右の銘にするなら・面接での答え方

「腹が立った時ほど、その場で返事をせず一晩おいてから対応するようにしています」と、感情に流されない工夫を話すと、落ち着いた判断ができる人だと伝わる。リーダー職の面接に向く。

25出典あり#仕事#リーダー
先知せんちなる者ものは、鬼神きしんに取とるべからず。必かならず人ひとに取とりて敵てきの情じょうを知しる者ものなり。

現代語訳前もって知るということは、神や霊に頼ってできることではない。必ず人から聞いて、敵の実情を知ることで得られる。

原文(漢文)先知者,不可取於鬼神,不可象於事,不可驗於度,必取於人,知敵之情者也。

出典:『孫子』用間第十三

出典について用間篇の本文にある。

意味と背景

占いや前例への当てはめ、勘に頼らず、実際に人から確かな情報を取ることが勝利のもとだという教え。二千五百年前に、迷信より情報収集を重んじた合理的な考えである。現場の声を聞くことの大切さとして今にも通じる。

座右の銘にするなら・面接での答え方

「新商品の企画では、思い込みで決めず、まず店頭で十人のお客様に話を聞くことから始めます」と、現場の情報を集める習慣と組み合わせると、データと人の声を大事にする姿勢が伝わる。

26実は言っていない#失敗#人生
三十六計さんじゅうろっけい、逃にげるに如しかず。

原文(漢文)檀公三十六策,走是上計。

出典:『南斉書』王敬則伝(6世紀の歴史書)。『孫子』には無い

本当の出どころ「孫子の兵法」と思われがちだが『孫子』には無い。元は『南斉書』王敬則伝で、南朝宋の将軍・檀道済の策について「三十六策のうち逃げるのが上策」と言った話。兵法書『三十六計』は明末清初ごろの作者不明の本で、孫子より二千年ほど後のもの。

意味と背景

どうにもならない時は、逃げて身を守るのが一番の策だという意味。孫子も勝ち目のない戦いは避けよと説いているので考え方は近いが、言葉そのものは別の本から来ている。「孫子曰く」と言うのは間違いなので注意したい。

この言葉の使い方

使うなら「孫子の言葉ではなく南斉書の故事ですが」と正しく前置きし、「無理な案件からは早めに撤退を進言して損失を防いだ」経験と結びつけると、引き際を判断できる人として話せる。

人物の説明の参考:https://ja.wikipedia.org/wiki/孫子_(書物)

ほかの古典・古代の思想家の名言

人物の絵のうち写真でないものはAIで作ったイラストで、本人の写真・肖像画ではありません。肖像写真の出典は「出典の決め方」のページにまとめています。

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