肖像画:張路『老子騎牛図』(パブリックドメイン)(ファイルのページ)老子の名言
老子(老子道徳経)|不詳〜不詳年|中国(春秋・戦国時代)|思想家(道家の祖)・古典
老子は、司馬遷の『史記』では周の書庫の役人だった李耳とされるが、実在したかどうかも含めて分からないことが多い人物。その思想をまとめた『老子』(道徳経)は約五千字・81章の短い本で、人の作為を捨てて自然の「道」に従うこと、水のように柔らかく争わない生き方を説いた。荘子とともに道家の中心とされ、日本の文化や言葉にも多くの影響を残している。
のせている言葉:25こ(出典あり 24・実は言っていない 1)更新:2026-10-20
この人の名言の一覧(25こ)
- 道の道とすべきは、常の道に非ず。名の名とすべきは…
- 上善は水の若し。
- 夫れ唯だ争わず、故に尤め無し。
- 功遂げて身退くは、天の道なり。
- 太上は、下之有るを知るのみ。
- 曲なれば則ち全し。
- 少なければ則ち得、多ければ則ち惑う。
- 企つ者は立たず、跨ぐ者は行かず。
- 人を知る者は智なり、自ら知る者は明なり。
- 人に勝つ者は力有り、自ら勝つ者は強し。
- 足るを知る者は富む。
- 柔弱は剛強に勝つ。
- 大器は晩成す。
- 足るを知れば辱められず、止まるを知れば殆うからず…
- 大巧は拙なるが若し。
- 知る者は言わず、言う者は知らず。
- 禍は福の倚る所、福は禍の伏す所。
- 大国を治むるは、小鮮を烹るが若し。
- 難きを其の易きに図り、大を其の細に為す。
- 怨みに報ゆるに徳を以てす。
- 千里の行も、足下より始まる。
- 天網恢恢、疏にして失わず。
- 天下に水より柔弱なるは莫し。而も堅強を攻むる者、…
- 信言は美ならず、美言は信ならず。
- 魚を与えれば一日食べられる。釣り方を教えれば一生…
それぞれの名言に、出典(どの本・手紙・演説か)と、確かさのしるし(出典あり伝承・出典未確認実は言っていない)をつけています。外国語の言葉は運営者が原文から訳しました。
道の道とすべきは、常の道に非ず。名の名とすべきは、常の名に非ず。
現代語訳これが道だと言葉で言い表せるような道は、永遠に変わらない本当の道ではない。名前をつけて呼べるような名は、永遠の名ではない。
原文(漢文)道可道,非常道,名可名,非常名;
出典:『老子』(道徳経)第1章
出典について王弼本『老子』第1章の冒頭にある。
意味と背景
『老子』の最初の一文。世界の根本にある「道」は、言葉や名前で決めつけたとたんに本当の姿からずれてしまう、という考え。言葉で説明しきれないものがある、という謙虚さは、物事を決めつけずに見る姿勢として今も役に立つ。
座右の銘にするなら・面接での答え方
座右の銘としては難しいが、「マニュアルどおりの答えが正解とは限らないと思い、現場ごとに一番いいやり方を考えるようにしています」と、決めつけない姿勢を語る時に引くと、深みのある答えになる。
上善は水の若し。
現代語訳最高の善は水のようなものだ。水はあらゆるものに恵みを与えながら争わず、人がいやがる低い場所に身を置く。
原文(漢文)上善若水。水善利萬物而不爭,處眾人之所惡,
出典:『老子』第8章
出典について王弼本『老子』第8章にある。日本酒の銘柄名にもなった言葉。
意味と背景
水は形を持たず、どんな器にも合わせ、すべての生き物を育てるのに手柄を誇らない。しかも人が嫌う低いところへ流れていく。そんな水の姿こそ理想の生き方だという。謙虚で柔らかく、それでいて欠かせない存在であれ、という教えである。
座右の銘にするなら・面接での答え方
「目立つ役より、みんなが嫌がる裏方の仕事を引き受けてチームを支えることにやりがいを感じます」と、自分の役回りを水にたとえて語ると、謙虚さと貢献意欲が自然に伝わる。
夫れ唯だ争わず、故に尤め無し。
現代語訳ただ争わないからこそ、とがめられることもない。
原文(漢文)夫唯不爭,故無尤。
出典:『老子』第8章
出典について王弼本『老子』第8章の結びにある。
意味と背景
「上善は水の若し」の章の最後の言葉。人と張り合わず、勝ち負けにこだわらない人は、恨まれることも責められることもない。争わないのは弱さではなく、自分を守り、周りとうまくやっていくための知恵だ、と老子は考えた。
座右の銘にするなら・面接での答え方
「議論で相手を言い負かすより、相手の考えの良いところを生かした案を出すようにしています」と話せば、争わずに物事を進める協調性をアピールできる。
功遂げて身退くは、天の道なり。
現代語訳仕事をなしとげたら身を引く。それが天の道である。
原文(漢文)功遂身退,天之道。
出典:『老子』第9章
出典について王弼本『老子』第9章の結びにある。
意味と背景
成功したあとも地位や手柄にしがみつくと、かえって身を滅ぼす。目的を果たしたら潔く退き、次の人に道をゆずるのが自然の理にかなっている、という教え。引き際の美しさや、後進に任せる勇気を考えさせる言葉である。
座右の銘にするなら・面接での答え方
「プロジェクトを立ち上げて軌道に乗せたら、後輩にリーダーを任せて自分は次の課題に移るようにしてきました」と、手柄に執着しない働き方を語ると、人を育てる姿勢が伝わる。
太上は、下之有るを知るのみ。
現代語訳最もすぐれた君主は、民からその存在が知られているだけである。仕事が成しとげられると、民はみな「自分たちで自然にこうなった」と言う。
原文(漢文)太上,下知有之,……悠兮其貴言,功成事遂,百姓皆謂:我自然。
出典:『老子』第17章
出典について王弼本『老子』第17章の冒頭と結び(間は中略)。
意味と背景
一番よい指導者は目立たず、口数が少なく、物事がうまくいった時に人々が「自分たちの力でやった」と思えるようにする。その次が慕われる指導者、その次が恐れられる指導者、最低が馬鹿にされる指導者だ、と老子は順位をつけた。
座右の銘にするなら・面接での答え方
「キャプテンとして目指したのは、自分がいなくても回るチームです。最後の大会では、後輩たちが自分たちで作戦を決めて勝ちました」と話すと、この言葉の理想を体験で語れる。
曲なれば則ち全し。
現代語訳曲がっているから無事でいられる。かがむから伸びられる。くぼんでいるから満ちる。古びるから新しくなる。少なければ得られ、多ければ迷う。
原文(漢文)曲則全,枉則直,窪則盈,敝則新,少則得,多則惑。
出典:『老子』第22章
出典について王弼本『老子』第22章にある。
意味と背景
まっすぐで固いものは折れやすく、しなやかに曲がるものは生き残る。欠けているからこそ満たされる余地があり、持ち物が少ないほうが迷わない。マイナスに見えるものの中にプラスがある、という老子らしい逆転の発想である。
座右の銘にするなら・面接での答え方
「最初の会社で挫折して回り道をしましたが、その分いろいろな仕事を経験でき、今の強みになっています」と、曲がった道が自分を育てた話と組み合わせると、前向きさが伝わる。
少なければ則ち得、多ければ則ち惑う。
現代語訳少なければ手に入り、多ければ迷う。
原文(漢文)少則得,多則惑。
出典:『老子』第22章
出典について王弼本『老子』第22章「曲則全」に続く句。
意味と背景
欲張ってたくさんのものを抱えると、何を選べばよいか分からなくなる。目標も持ち物も情報も、しぼり込むほうがかえって大事なものを得られる、という教え。物や情報があふれる今の時代の「断捨離」や「選択と集中」に通じる。
座右の銘にするなら・面接での答え方
「受験では参考書を一冊にしぼり、それを五回繰り返したことで成績が上がりました」と、しぼり込んで成功した経験と組み合わせると、迷わず集中できる人だと伝わる。
企つ者は立たず、跨ぐ者は行かず。
現代語訳つま先立ちする者は長く立っていられない。大またで歩く者は遠くまで行けない。自分を見せびらかす者は、かえって目立たない。
原文(漢文)企者不立,跨者不行,自見者不明,自是者不彰,自伐者無功,自矜者不長。
出典:『老子』第24章
出典について王弼本『老子』第24章にある。
意味と背景
背伸びをして自分を大きく見せようとしても長続きしない。無理な大また歩きもすぐ疲れてしまう。自慢したり自分だけが正しいと言い張ったりする人は、かえって認められない。等身大で一歩ずつ進むことの大切さを教えている。
座右の銘にするなら・面接での答え方
「最初は背伸びして仕事を抱えすぎ、体調を崩しました。それからは自分の力を正しく伝え、できることを確実にやるようにしています」と、無理をした失敗から学んだ話にすると説得力が出る。
人を知る者は智なり、自ら知る者は明なり。
現代語訳他人を知る人は知恵がある。自分自身を知る人は聡明である。
原文(漢文)知人者智,自知者明。
出典:『老子』第33章
出典について王弼本『老子』第33章の冒頭にある。
意味と背景
人の性格や考えを見抜くのは賢いことだが、自分自身の長所や短所を正しく知ることは、それよりもっと難しく、もっと価値がある。他人を評価する前に自分を見つめよという、老子の内面を重んじる考えがよく表れている。
座右の銘にするなら・面接での答え方
自己分析を聞かれた時に「自分を知るのが一番難しいと考え、友人五人に自分の長所と短所を聞いて回りました」と、実際に自分を知ろうとした行動を添えると、この言葉の重みが生きる。
人に勝つ者は力有り、自ら勝つ者は強し。
現代語訳他人に勝つ人は力がある。自分に勝つ人こそ本当に強い。
原文(漢文)勝人者有力,自勝者強。
出典:『老子』第33章
出典について王弼本『老子』第33章にある。
意味と背景
試合やテストで人に勝つには力が要るが、怠けたい気持ちや誘惑に勝つことはもっと難しい。本当の強さは、他人との比較ではなく自分をコントロールできるかどうかにある、という教え。「己に克つ」という言葉と同じ考えである。
座右の銘にするなら・面接での答え方
「毎朝五時に起きて勉強する生活を一年続けました。誰かに勝つためではなく、寝ていたい自分に勝つためでした」と、自分との戦いを続けた話と組み合わせると、強い意志が伝わる。
足るを知る者は富む。
現代語訳満足することを知っている人は、それだけで豊かである。
原文(漢文)知足者富。
出典:『老子』第33章
出典について王弼本『老子』第33章にある。「足るを知る」の出どころ。
意味と背景
いくらお金や物を持っていても、もっと欲しいと思い続ける限り心は貧しいまま。今あるものに満足できる人こそ、本当の意味で豊かだという。京都の龍安寺のつくばい「吾唯足知」も、この考えを形にしたものとして知られている。
座右の銘にするなら・面接での答え方
「足るを知るは向上心を捨てることではなく、今あるものに感謝したうえで次を目指すことだと考えています」と、自分なりの解釈を添えると、ただの節約好きではない、深みのある答えになる。
柔弱は剛強に勝つ。
現代語訳柔らかく弱いものが、硬く強いものに勝つ。
原文(漢文)柔弱勝剛強。
出典:『老子』第36章
出典について王弼本『老子』第36章にある。
意味と背景
硬い木は強い風で折れるが、柔らかい草はしなって元に戻る。力でぶつかるより、柔らかく受け流すほうが最後には勝つ、という老子の中心的な考え。柔道の「柔よく剛を制す」も、似た考えを伝える言葉として知られている。
座右の銘にするなら・面接での答え方
「体格では負けていましたが、相手の力を利用する練習を重ねて、県大会で勝てました」と、柔らかさで強さに勝った経験と組み合わせると、運動部出身の人には特に話しやすい言葉になる。
大器は晩成す。
現代語訳大きな器は、できあがるのがおそい。
原文(漢文)大方無隅,大器晚成,大音希聲,大象無形,道隱無名。
出典:『老子』第41章
出典について王弼本『老子』第41章にある。なお1970年代に出土した馬王堆帛書本(乙本、Wikisource「老子 (帛書本)」で確認)では「大器免成」(大きな器は完成しない)となっており、本来の意味については学者の間で議論がある。
意味と背景
「大器晩成」の出どころ。大物は時間をかけて育つので、若いうちに目立たなくても焦るなという励ましとして使われる。ただし古い写本では「大器免成」とあり、本当は「本当に大きな器には完成という形がない」という意味だったという説もある。
座右の銘にするなら・面接での答え方
「周りより成長はゆっくりでしたが、一つずつ確実に身につけてきました」と自分を語る時に使える。出土写本では「免成」とする説もあると知っていれば、教養として話の幅が広がる。
足るを知れば辱められず、止まるを知れば殆うからず。
現代語訳満足することを知れば恥をかかない。止まるべき所を知れば危ない目にあわない。そうすれば長く安らかでいられる。
原文(漢文)知足不辱,知止不殆,可以長久。
出典:『老子』第44章
出典について王弼本『老子』第44章の結びにある。
意味と背景
名声と自分の身、財産と自分の身、どちらが大切かと問いかける章の結び。欲張りすぎず、どこでやめるかを知っていれば、失敗や恥を避けて長く安定して生きられる。投資や賭けごと、働きすぎにもそのまま当てはまる教えである。
座右の銘にするなら・面接での答え方
「仕事では、ここまでやったら止めるという線を先に決めるようにしています。深追いして損を広げた失敗から学びました」と、引き際を決めている話にすると、冷静な判断力が伝わる。
大巧は拙なるが若し。
現代語訳本当にたくみなものは、かえって下手に見える。
原文(漢文)大巧若拙,其用不輟。
出典:『老子』第45章
出典について王弼本『老子』第45章にある。
意味と背景
名人の技は、わざとらしさがなく自然なので、一見すると素朴で下手に見えることがある。見た目の器用さや派手さにとらわれず、中身を見よという教えでもあり、目立たなくても確かな仕事をしている人を励ます言葉でもある。
座右の銘にするなら・面接での答え方
「職人の祖父の仕事は地味に見えましたが、何十年も壊れない家具を作っていました。自分も見た目より長く役立つ仕事をしたいです」と、身近な人の姿と結びつけると心に残る答えになる。
知る者は言わず、言う者は知らず。
現代語訳本当に知っている人は、あれこれ言わない。あれこれ言う人は、本当は知らない。
原文(漢文)知者不言,言者不知。
出典:『老子』第56章
出典について王弼本『老子』第56章にある。
意味と背景
物事を深く理解している人ほど、言葉で説明しきれないことを知っているので口数が少なくなる。逆に、よく知らない人ほどしゃべりたがる。SNSで誰もが意見を言える時代に、自分の知識の浅さを省みるきっかけをくれる言葉である。
座右の銘にするなら・面接での答え方
「知ったかぶりで話すより、詳しい人の話をよく聞いて確かめることを大事にしています」と、聞く姿勢をアピールする時に使える。おしゃべりな自分への戒めとして選んだ、と言うのも正直で好印象。
禍は福の倚る所、福は禍の伏す所。
現代語訳わざわいの中には幸福がよりそい、幸福の中にはわざわいがひそんでいる。
原文(漢文)禍兮福之所倚,福兮禍之所伏。孰知其極?其無正。
出典:『老子』第58章
出典について王弼本『老子』第58章にある。
意味と背景
悪いことと良いことは表裏一体で、どこまでが不幸でどこからが幸福か、誰にも決められない、と老子は言う。「人間万事塞翁が馬」と同じ考えで、つらい時に希望を、うまくいっている時に油断しない心を与えてくれる。
座右の銘にするなら・面接での答え方
「第一志望に落ちたことで今の分野に出会えました。悪いことの中にも次の芽があると思えるようになりました」と、不運が転機になった経験と結びつけると、前向きさが伝わる。
大国を治むるは、小鮮を烹るが若し。
現代語訳大きな国を治めるのは、小魚を煮るようなものだ。
原文(漢文)治大國,若烹小鮮。
出典:『老子』第60章
出典について王弼本『老子』第60章の冒頭にある。
意味と背景
小魚を煮る時にやたらとかき回すと、身がくずれてしまう。国の政治も同じで、上の者があれこれ口を出しすぎると、かえって国が乱れる。細かく干渉せずに見守ることの大切さを、台所のたとえで分かりやすく言っている。
座右の銘にするなら・面接での答え方
「後輩に仕事を任せたら、細かく口を出しすぎず、困った時に相談できる状態だけ作っておくようにしています」と、任せ方の工夫を語る時に使うと、リーダーとしての器が伝わる。
難きを其の易きに図り、大を其の細に為す。
現代語訳難しいことは、それがまだ易しいうちに手をつける。大きなことは、それがまだ小さいうちに行う。
原文(漢文)圖難於其易,為大於其細;
出典:『老子』第63章
出典について王弼本『老子』第63章にある。同じ章に「怨みに報いるに徳を以てす」もある。
意味と背景
天下の難しいことも必ず易しいことから起こり、大きなことも必ず小さなことから起こる、と老子は続ける。問題が小さいうちに片づけ、大きな仕事は小さく分けて取りかかる。仕事の進め方の基本を二千年以上前に言い当てた言葉である。
座右の銘にするなら・面接での答え方
「大きな課題は必ず一日でできる大きさに分けて手をつけます。卒業論文もこの方法で締め切りの一か月前に書き終えました」と、具体的なやり方を話すと、計画的な人だと伝わる。
怨みに報ゆるに徳を以てす。
現代語訳恨みに対しては、恩徳で報いる。
原文(漢文)大小多少,報怨以德。
出典:『老子』第63章
出典について王弼本『老子』第63章にある。なお『論語』憲問篇で孔子は「直きを以て怨みに報い、徳を以て徳に報ゆ」と、これと違う考えを述べている。
意味と背景
ひどいことをされても仕返しせず、親切で返す。そうすれば恨みの連鎖は止まる、という老子の考え。一方、孔子は「恨みには公正さで、恩には恩で返せ」と言った。同じ問題に二人の思想家が違う答えを出していて、比べると面白い。
座右の銘にするなら・面接での答え方
「意地悪をされた相手にも普段どおり挨拶し、困っていた時には手伝いました。今では一番相談し合える同僚です」と、仕返ししなかったことで関係が変わった経験を話すと、器の大きさが伝わる。
千里の行も、足下より始まる。
現代語訳千里の旅も、足もとの一歩から始まる。
原文(漢文)合抱之木,生於毫末;九層之臺,起於累土;千里之行,始於足下。
出典:『老子』第64章
出典について王弼本『老子』第64章にある。英語の「The journey of a thousand miles begins with a single step」の元。孔子の言葉と紹介されることがあるが、老子の言葉。
意味と背景
両腕で抱えるほどの大木も小さな芽から育ち、九階建ての高台も土を一盛りずつ積んで作られる。どんな大きな目標も、目の前の小さな一歩から始まる。英語圏でもよく知られ、孔子の言葉と間違われることもある名句である。
座右の銘にするなら・面接での答え方
「英語が苦手でしたが、毎日単語を十個覚えることから始め、二年でTOEICを三百点上げました」と、小さな一歩を積み重ねた具体的な数字と組み合わせると、ありふれた言葉でも説得力が出る。
天網恢恢、疏にして失わず。
現代語訳天の網は広く大きく、目は粗いようだが、悪いことをした者を決して取り逃がさない。
原文(漢文)天網恢恢,疏而不失。
出典:『老子』第73章
出典について王弼本『老子』第73章の結びにある。日本では「疎にして漏らさず」の形で広まったが、王弼本の字は「疏而不失」。
意味と背景
悪いことをしても見つからないように見えて、天の網はいつか必ずとらえる、という意味。日本では「天網恢恢疎にして漏らさず」として知られる。誰も見ていなくても正しく行動しよう、と自分を律するための言葉としても使える。
座右の銘にするなら・面接での答え方
「誰も見ていない時こそ手を抜かないようにしています。レジ締めでは一円の誤差でも必ず原因を確かめてきました」と、見えないところでの誠実さを語ると、信頼できる人だと伝わる。
天下に水より柔弱なるは莫し。而も堅強を攻むる者、之に能く勝る莫し。
現代語訳世の中に水より柔らかく弱いものはない。それなのに、硬く強いものを攻めるのに、水にまさるものはない。
原文(漢文)天下莫柔弱於水,而攻堅強者,莫之能勝,其無以易之。
出典:『老子』第78章
出典について王弼本『老子』第78章にある。
意味と背景
水は形がなく弱そうに見えるが、長い時間をかけて岩をも削り、谷を作る。柔らかさと粘り強さこそが最後に硬いものを打ち破る、という老子の水の哲学の集大成ともいえる言葉。「雨垂れ石を穿つ」にも通じる。
座右の銘にするなら・面接での答え方
「一度断られた取引先にも、季節ごとに情報を届け続け、二年目に契約をいただけました」と、柔らかく粘り強く続けて結果が出た経験と組み合わせると、水の強さを自分の言葉で語れる。
信言は美ならず、美言は信ならず。
現代語訳真実の言葉は飾り気がない。飾った言葉には真実がない。
原文(漢文)信言不美,美言不信。
出典:『老子』第81章
出典について王弼本『老子』の最後の章、第81章の冒頭にある。
意味と背景
『老子』の最後の章の始まり。本当のことを言う言葉は、耳に心地よいとは限らない。逆に、きれいに飾った言葉は、どこかに嘘が混じっていることが多い。広告や口のうまい人に惑わされないための、昔からの知恵である。
座右の銘にするなら・面接での答え方
「お客様には良いことだけでなく、商品の弱点も先に伝えるようにしています。そのほうが長く信頼していただけました」と、正直な言葉で信頼を得た経験を語ると、この言葉が生きる。
魚を与えれば一日食べられる。釣り方を教えれば一生食べられる。
原文(英語)Give a man a fish and you feed him for a day. Teach him how to fish and you feed him for a lifetime.
出典:『老子』には無い。作者不明のことわざ
本当の出どころ英語版Wikiquoteの「Misattributed」にあり、出どころは不明とされる。老子のほか、孔子や管仲の言葉ともされるが、『老子』(道徳経)にこの文は無い。英語圏で広まったことわざが、東洋の古典の言葉として紹介されるようになったもの。
意味と背景
物を与えるより、自分で手に入れる力を身につけさせるほうが本当の助けになる、という意味。教育や支援の考え方としてよく使われる。内容は良いが老子の言葉ではない。老子で近いのは、目立たず人々に「自分たちでやった」と思わせる指導者を最上とする第17章である。
この言葉の使い方
使うなら「老子の言葉とされますが実は作者不明のことわざで」と正しく前置きし、「後輩には答えではなく調べ方を教えるようにしています」と、教え方の工夫と結びつけると誠実な答えになる。
人物の説明の参考:https://ja.wikipedia.org/wiki/老子
ほかの古典・古代の思想家の名言
人物の絵のうち写真でないものはAIで作ったイラストで、本人の写真・肖像画ではありません。肖像写真の出典は「出典の決め方」のページにまとめています。